うろぼんdiary

クワガタとオサムシを求めて北海道を中心に活動する大学生の備忘録

採集記

 

 

 

 

10/24

 

 

ついにその日は来た。

僕は今年が初めてなのでとりあえず取ることを目標にした。そりゃ来たからにはでかいのが取りたいが、まずは取らないことにはなにも始まらない。

正直不安もあった。同行者はというと毎年来ている人やいろいろな離島に行っている人など強者ぞろいだ。また自分だけ他の人よりも少ない4晩という短期決戦だ。取れずに終わってしまうかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

絶対取ってやる。

 

 

 

 

 

 

夕方ごろに入林。集合時間を決め、早々にジャングルの中へと散っていく。どんな場所がいいのかもさっぱりわからないが、とりあえず目星をつけていた辺りへガーミン片手に行く。周りのなにもかもが地元北海道とは違う。ああ、本当に来たんだなと改めて実感する。1人暗いジャングルの中にいるはずなのにわくわくが止まらない。


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どのような木がいいのかもわからないので目についた太い木を片っ端から見ていった。少し遠くでも、もしかしたらいるかもしれない、見に行かなければチャンスを捨てているようなものだとの思いで見ていく。

 

 

 

 

無情にも10時、11時とただ時間だけが過ぎていった。焦りばかりが募る。戻りながらも来た時にマークしておいた木に黒くてでかい塊がついていないか丹念に探す。しかし努力もむなしく何一つ採集することなく林道まで戻ってきてしまった。

 

 

 

そこにはちょうど後輩が帰ってきており、ダメでしたとの報告を聞いた。ヘッドライトを消して夜空を眺める。今まで全く気付かなかったが満点の星空だった。悔しいが初日は完敗だ。奥まで歩けば1匹ぐらい取れるでしょと思っていたが完全に甘かった。ネットや聞いていた話ではみんなさも当たり前かのように取っているように思えたが、それはとんでもない努力をした成果なのだということを改めて痛感した。少しして残りの2人が返ってきたが、初日から見つけていたようだ。正直驚いた。悔しかった。しかし見せてもらったそれは想像通り、いや想像の何十倍もかっこよかった。明日こそ絶対取ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10/25

 

 

水4Lと弁当をリュックに詰め昨日より3時間ほど早くジャングルに突入する。昨日とは違うところだ。もちろん目標にしている地点までがどんな環境かなんてわからないし、そもそもどんな環境にいるのかもわかっていない。が、考えたって仕方ない。日があるうちにできるだけ奥まで進もうと歩みを進める。つるアダンがちぎれ背中から小さな崖から落ちた時は肝を冷やした。

 

 

早くから動き出したこともあり、日が暮れるころにはかなり奥まで来た。弁当も食べ終わり再び歩き始めて10分もたたないうちに、その時は突然訪れた。

 


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目の前のどちらかというと細めの木の幹の目線の高さほどのところにそれはついていたのだった。

 

 

 


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いた。

 

本当にいた。

 

だれにも頼らず自分の力で取った。

 

これが夢にまで見たクワガタか。

 

うおおおおお。

 

 

 

 

いろいろな思いが入り混じる中、遠征当初から抱えていた不安からも解放され、気づけばガッツポーズをしていた。

 

太いフレークが詰まった木についているとばかり思いこんでいたので思いがけない出会いだった。

 

 

周辺を入念に探すと昨日のヌルが嘘だったかのように3匹、4匹と見つけることができた。ここまでは全て小歯だった。


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がすぐ後になんとメスも見つけることができた。

 


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しかしそこから少し奥に進むとぱったりといなくなってしまった。この時点で9時。このとき自分はかなり満足していた。昨日あれだけ探して1匹も見つけることができなかったものがここまでで5匹も見つけることが出来たのだ。どうやら先ほどのような環境が良いらしいので引き返したとしてももしかしたらまだ追加を得られるかもしれない。

 

しかし僕はさらに奥へと向かった。30分ほど歩いただろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目に飛び込んできたそいつは見たことのない形をしていた。


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潜られそうになり慌てて写真を撮りわしづかみにする。

 

 

 

 

 

 


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大量の汗でメガネが曇る。

 

 

 

 

ふつふつと湧き上がるものを感じながらも鞄をそっと置き、手にへばりついているそいつをまじまじと見つめる。

 

 

 

 

 

 


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叫ばざるを得なかった。

 

 

うおおおおおおおお!!!!!!!!!!

 

マジか!これが大歯...!!これがタテヅノ!!

 

うおこっちにもいる!!

 

こっちのメスもでけぇ!!


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天国がそこにはあった。

 

 

 

 

 

 


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一枚の写真の中に複数大歯。

 

一応奥にも1匹いる。

 

 

 

 

 

 

 

 

結局ここではこの御神倒木2本(おそらく元は1本だが倒れて折れたようだ)の周りだけで6匹の大歯、6匹のメスを見かけることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 


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また樹液を吸っているようにも見えるメスもいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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やらせみたいな写真。

 

 

 

 


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こいつが最大で63mm。

 

次いで両顎欠け61.5mm、61.1mmだった。52.6mmのクソでかいメスもいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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個人的にこの61.1は顎がくそかっこよかった。

 

 

 

 

 


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反則でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日は22匹という昨日の成果が嘘のように感じるほど見ることができ、そしてまさかの大歯まで取ることが出来た。帰る途中今日俺は死ぬんじゃないかと何度も思ったが、何とか無事帰ってこれた。3時に間に合わないかと思いきや1時には戻ってきてしまったが幸福感で満たされていた。本当に運がよかった。

この日は人生で1、2を争うほどの汗をかいた。他の人も皆凄い成果を上げていて本当に驚きの連続だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10/26

 

 

さて遠征も折り返し。もっとでかいのを取るぞ!!

今日は昨日行けなかったさらに奥へ行くことにした。

 

 

良さそうな場所を見つけ腰を下ろし飯を食べていると、目の前の木からノコノコと小歯が這い出てきた。

 

 

まだいるのではないかと思い一帯を探すも、数こそみることは出来たがどれも小歯だった。

 

 


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しかしそのたびにやつの美しさに感嘆していた。そのままこの日は終了。集合場所に戻ったが、そこで後輩の取っていたネブトに衝撃を受けた。取りてぇ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10/27

 

 

最終日である。泣いても笑ってもこれが最後だ。当初の予定では初日惨敗したところにリベンジしに行くはずだったが、いろいろありまた別の場所へ行くことに。初日はかなり手前で森に入ったので分からなかったが、林道を人と歩くのはとても新鮮で森でのみんなの顔は真剣そのものだった。

 

 

 

この日は日暮れごろに56mmの中歯を見つけた。

 

 

 

 

その後も小歯をぽつぽつとみることが出来たが、最初のアツいポイントを過ぎるとぱったりといなくなってしまった。その後もさまよい続けるがつらい時間が続く。

 

 

 

 

 

 

 


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こいつも56mmの中歯。

 

 

あきらめていた時に目の前のほっそい木についていて個人的にめちゃくちゃテンションが上がった。

この立体感やばすぎる、大好き。

 

 

 

 

 

この後ネブトに逃げられもう終わりかと思っていると森のなかで後輩と遭遇。なんと大歯を取っているようだった。何をやっているんだ俺はと、自分を奮い立たせもう一度奥に向かって道無き道を歩いた。結果的に小歯を何匹か追加で見ただけで特筆すべきことはなかったがそれでもすべて出し切れた。

 

 

こうして僕の遠征は幕を閉じた。