札幌市内でのヒメオオクワガタ採集
札幌は197万人が住む都市でありながら同時に自然もいっぱいあり、クワガタでいえば ミヤマ ノコ アカアシ ヒメオオ コ オニ ツヤハダ マダラ などはとることができる。僕はまだ札幌でツヤハダを取ったことはない。
そう!ヒメオオクワガタが取れるのだ!
とはいえブナ帯があるのは道南までなので決して数は多くないらしい。夕張山脈北部や当別、日高山脈の記録等を除くと、どうやら小樽、札幌、江別、恵庭、千歳、苫小牧あたりでは取れているようだ。しかし北限近くということもあり標高は何百mでも生息してるらしい。
ヒメオオクワガタは柳の他にハンノキにもつくらしく、気温の上昇と共に木に登り枝を齧っており、夕方にはまた木を降りてしまうそう。ライトにはほぼ飛んでこないので採集方法は基本的にルッキング採集になる。
ヒメオオクワガタがいるところにはこのようなぐるっと枝を一周する食痕があるので、このような痕が沢山ある木を見つけたら半分取れたようなもの。
2020/9/24 道南
そんなヒメオオクワガタを探し始めたのは高校生の時だ。授業終わりに自転車で山に行くも、いるのはアカアシばかり。
そもそも実際にヒメオオを取ったことがなかったので高い木の枝についている傷がはたしてヒメオオの食痕なのかはたまたただの傷なのかがわからず迷走。
大学生1年になっても札幌ヒメオオへの憧れは潰えることはなく、幾度も探しに行ったが撃沈。
そんな時に先輩から道南でのヒメオオ採集の誘いがあった。免許を持っていなかった僕は少し悩んだ。初めてのヒメオオはここまで来たら札幌でとりたい、でもこのままやみくもに探してもずっと取れないのではないか。
結局後者が勝ってしまい同行させていただくことに。
先輩から食痕がどんなものか教えてもらいながら林道を歩いていき、先輩方がぽつぽつと見つけていく中、僕も何とか柳についているヒメオオを発見。
スマホを車内に忘れていったので家での写真
実績のあるポイントで案内してもらっての採集ではあるが、やっぱりうれしいことに変わりはない。
どんな感じについてるのかがわかったところで札幌で探していく。
もう秋も深くなりそろそろシーズンも終わってしまうかと思われた。しかし土砂降りで風も強かったあの日。ようやく食痕らしきもの発見。よく見ると周りの木にもぐるっと一周している食痕がいくつもあるではないか。アドレナリンがもうあと少しであふれ出す、そんな状況だったが探せど探せどヒメオオはついていなかった。食痕を見つけれただけでも大きな一歩ということでその日は帰った。
後日同じ場所に行ってみたが、結局その年は見つけることはできなかった。
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そして今年、2020年8月1日。
今年の春に免許を取ったおかげで活動範囲が広がっていた僕は、一昨日に道南オオクワライト(ヌル)したあとオールで運転しそのまま夕張まで行きヒメオオを探すも撃沈。
時間があるのなら山に行って損はないので去年食痕があった場所に向かった。
歩き始めて数分、道を歩く何かを発見。
こんなところでとることは今後なさそうなので素直に嬉しい。歩いているオオルリオサムシを見つけたのも初めてだったのでたくさん写真を撮る。
たくさん撮ったのになぜこんな写真しかないのかって?
今年の秋にスマホが海水で死んだときに写真の一部が復元できずに消え、この日の写真ももれなく消えたなんてね。残っているのはツイッターにあげた写真だけなんてことはまさかないよね。笑
悲しいです
しかし今回の目当てはこれではないと慌てて歩みを進める。汗だくになり息が上がっていてもわくわくで足が止まらない。
例の場所に到着し順々に舐めるように木を見ていく。
ふと視界の端に黒い影が映る。柳の木の幹にべったりとくっついているそれはゆったりと根本のほうに行こうとしているようだった。木と僕の間には笹があり、目を凝らさないとそれが何クワガタかはわからなかったが、速くなっていく鼓動がそれがなにであるかを物語っていた。
叫びたい気持ちを抑え、自作の網をつけた長竿を伸ばしていき、そっと下から掬ったのち手元に手繰り寄せる。
ヒメオオクワガタ
叫ばないはずがない。何度も夢見た光景が目の前にある。実感がわかないまま5分ほど過ぎ、ようやく"自分の手で札幌のヒメオオを取った"という事実に喜びが湧いてきた。
うわ、まじか、うおおお と連呼していたと思う。
その後近くのハンノキで枝を齧って樹液をなめっている小さなオスも見つけ、帰路に就いた。
去年道南でとった個体は42mmほどだったが、今回は46mmと38mmと自己ベストも更新することができた。
今までの努力が報われた最高の一日はこうして幕を閉じた。
今でも網をのぞき込んでヒメオオをつかんだ瞬間は覚えているしこれからも忘れないだろう。